健診結果報告書(A,B-1/2,C,E)について.
>>注意事項
報告書の特徴
健診の際書いて頂きました健診質問表と当日の健診結果から,生活習慣上の問題点(喫煙や飲酒など)を考慮して様々な生活習慣の背景をもつ受診者の皆様各々に適した,健康上の問題点をお示しするよう配慮致しました.また”メタボリックシンドロームチェック”では特定健診・特定保健指導に則して,肥満と関連して危険因子が集積したひとを健診データから判別し,その上流にある太りやすい生活習慣や下流にある動脈硬化に関連した臓器障害の有無をお示しします.
肥満度(BMI)
肥満の人には,報告書に肥満度を示しました.また,減量するための1日の食事摂取量(標準体重に25kcalを乗じたカロリー)を目安として示しました.
血圧
収縮期血圧(最大血圧)140mmHg 以上または拡張期血圧(最小血圧)90以上を“高血圧”と判定し,日本高血圧学会2004のガイドラインに準拠してリスクを表示しました.
脂質代謝
2002年の動脈硬化学会のガイドラインに従いLDLコレステロール(いわゆる悪玉)の数値をもって判定しました.
報告書でLDLは直接法により測定した結果を表示しました.
心血管病に罹りやすさのリスクを段階的に,脂質カテゴリーA B1 B2 B3 B4 Cに分類しました.各カテゴリー毎に,管理目標値がガイドラインに決められていますので,LDL(または総コレステロール)の値がこの管理目標値よりも上回る場合”高脂血症”と,あるいはHDLがこの管理目標値を下回る場合”低HDL"のように脂質代謝異常として報告書に示しました.
肝機能
肝炎ウイルスに関する情報の有無や,毎日飲酒しているか,肥満しているかを出来るだけ考慮して報告書に示しました.
糖代謝
健診前にうっかり食事をしてしまった時の採血で(すなわち随時の)血糖が200mg/dl以上の場合,糖尿病と判定しました.一方食後採血にもかかわらず血糖が110mg/dl未満の場合は異常なしと判定しました.ブドウ糖負荷試験ではインスリン分泌能低下やインスリン抵抗性がある場合報告書に示しました.
血液検査
赤血球数,ヘモグロビン(血色素量),ヘマトクリットから,MCV(平均赤血球容積),MCH(平均赤血球血色素量),MCHC(平均赤血球血色素濃度)を計算し,貧血のある場合その種類の判定に利用しました.
7) 心電図,胸部X線,胃部X線,胃部内視鏡,腹部エコー,乳がん検診などの一部の所見について簡単な解説をつけました.
健診報告書のめざすもの
健診報告書の役割は,生活習慣病としての高脂血症,高血圧,糖尿病などやがんなどの早期検出,早期発見と,生活習慣上の問題点をご自分で認識し,ご自分で修正改善して頂くための基礎的な資料(検査データとその医学的な解釈)を示すことです.
また特定健診では"メタボリックシンドロームチェック"により”肥満と関連した動脈硬化危険因子の集積”の度合いを示し,そのうち"減量するだけで生活習慣病の発病を回避できそうな方”に特定保健指導の場での強力な減量を促します.
報告書作成の背景について
健診結果の判定は,血液検査など各項目の“個々の”数値を,「人間ドック成績判定及び事後指導に関するガイドライン」(以下健診ガイドラインと呼びます)の基準値と照らし合わせて判定します.ある項目の数値が基準値を上回れば,その項目が“異常”であると判定します.
しかし,例えばコレステロールの場合の判定は単純ではありません.動脈硬化学会2002年のガイドラインによると,若い人でタバコも吸わず,糖尿病や高血圧もない方の基準値は240mg/dl未満と判定は“甘く”ていいのですが,中年以後,スモーカーで,糖尿病のある人は基準値を200mg/dl未満と“厳しく判定します.動脈硬化の危険因子をたくさんもっている方は動脈硬化の進行が早い可能性があるためより厳重なコレステロール値の管理が必要と言われているからです.生活習慣病の危険因子という観点から,各々違った背景をもつ受診者に各人の違いを加味した報告をするのはこれまで限界がありました.
当センターでの健診報告書の特徴
健診の際書いて頂きました健診質問表と当日の健診結果から,生活習慣上の問題点(喫煙や飲酒など)を考慮して,様々な生活習慣の背景をもつ受診者の皆様各々に応じた健康上の問題点をお示しするよう出来るだけ配慮致しました.
1) 肥満度(BMI),腹囲
日本肥満学会の肥満分類に準拠し,肥満の人(BMIが25以上の人)には,報告書に肥満度を示しました.
また,減量するための1日の食事摂取量(標準体重に25kcalを乗じたカロリー)を目安として示しました.また平成20年度からの特定健診に対応して,腹囲を示しました.
肥満=(イコール)病気ではありませんが,糖尿病,高血圧,高脂血症の “きっかけ” あるいは “共存した状態”として,とても重要です(メタボリックシンドローム).糖尿病,高脂血症,高血圧,高尿酸血症,脂肪肝を伴う肝障害などの方は,これらの病気の一番上に“君臨”しているのが肥満であるかもしれません.
2) 血圧
日本高血圧学会2004のガイドラインに準拠しました.
収縮期血圧(最大血圧)140mmHg 以上または拡張期血圧(最小血圧)90以上を“高血圧”と判定し,血圧の数値により軽症から重症までに分類しました.
次に質問表と当日の健診結果からわかる範囲で心血管病の危険因子と臓器障害を拾い上げ,血圧値の分類と合わせて高血圧によって将来心血管病に罹りやすさのリスクの層別化を行い,報告書に低リスク,中リスク,高リスクと表示しました.
健診のとき緊張して血圧が上がり高血圧を判定された方もあるでしょう.報告書の数値は健診時に何度か測定したもののうち一番低い血圧値を記載しました.今後,機会(器械)がありましたらご自分の血圧を繰り返し測定してみて下さい.健診時のみならず普段の緊張状態においても“高血圧”になっている可能性があります.
収縮期血圧140以上が長期間続くと,圧力により動脈の血管の内側の壁に負担がかかり動脈硬化が進むと考えられています.血管を大事に傷つけぬよう長く使うことが重要です.
3) 脂質代謝
2002年の動脈硬化学会のガイドラインに従いLDLコレステロール(いわゆる悪玉)の数値をもって判定しています.
報告書でLDLは直接測定しています(従来の簡易式は用いませんのでより精度が高く測れます)
まず質問表と当日の検査結果や家族歴,ご自身の既往歴からわかる範囲で高脂血症以外の心血管病の危険因子を拾い上げ, 高脂血症によって将来心血管病に罹りやすさのリスクの層別化を行い,脂質カテゴリーA B1 B2 B3 B4 Cに分類しました.
各カテゴリー毎に,LDLコレステロール(総コレステロール),中性脂肪,HDLの管理目標値がガイドラインに決められていますので,LDL(または総コレステロール)の値がこの管理目標値よりも上回る場合”高脂血症”と,あるいはHDLがこの管理目標値を下回る場合”低HDL"として報告書に示しました.
4) 肝機能
健診ガイドラインの基準値に準拠して判定しています.肝障害を認めた場合,肝炎ウイルスに関する情報の有無や,毎日飲酒しているか,肥満しているかを出来るだけ考慮して報告書に示しました.
5) 糖代謝
健診ガイドラインの基準値に準拠して判定しています.血糖値は食事の影響を受けますので,健診の際は絶食で検査(採血)するのが原則ですが,時に種々の理由で食後に採血される場合があり再検査をお願いしています.しかし食後採血で(すなわち随時の)血糖が200mg/dl以上の場合は,1999年日本糖尿病学会の基準に基づき糖尿病と判定しています.一方食後採血にもかかわらず血糖が110mg/dl未満の場合は異常なしと判定しています.
75gブドウ糖負荷試験では,空腹時血糖値とインスリン値(IRI),負荷後30分後血糖値とインスリン値(IRI),120分後血糖値を測定するのを原則とし判定に用いています.各血糖値を用い1999年日本糖尿病学会の基準に準拠して糖尿病型,境界型,正常型のいずれかを判定します.また負荷前後の血糖値とIRIからインスリン分泌能低下やインスリン抵抗性がある場合報告書に示します.
6) 血液検査
赤血球数,ヘモグロビン(血色素量),ヘマトクリットから,MCV(平均赤血球容積),MCH(平均赤血球血色素量),MCHC(平均赤血球血色素濃度)を計算し,貧血のある場合その種類の判定に利用しました.
7) 心電図,胸部X線,胃部X線,胃部内視鏡,腹部エコー,乳がん検診などの一部の所見について簡単な説明しております.
健診報告書の限界と注意事項
1) 危険因子のカウントについて
- タバコを今まで吸ったことにある方
質問表で,タバコを今まで吸ったことがあるにチェックをした方は,現在禁煙されている方でも危険因子があると見なしています.虚血性心疾患の死亡率が,非喫煙者を1としたとき,スモーカーで1.76倍であるところが,5年以上の禁煙で1.31倍まで低下するという報告(平山,1981)や,10-15年以上で非喫煙者と同等ともいわれており.禁煙の効果は確かにありますのでスモーカーの方は是非禁煙をお勧めします. - 心血管病で治療中の方
質問表で,虚血性心疾患,閉塞性動脈硬化症,脳卒中などの罹患歴,虚血性心疾患の家族歴を拾いきれなかったり,健診時に検査されていないため危険因子が拾われなかったりすると,高血圧,高脂血症を過小評価してしまうことがあります.これらの疾患があるかたはより厳重に治療をされることをお勧めします. - 危険因子の少ない方と多い方
年令と家族歴は修正することができませんが,その他の危険因子は生活習慣の修正で改善出来る余地があります.また最近の薬物療法の進歩で高血圧,高脂血症,糖尿病は十分コントロール可能となりました.中等リスク以下の高血圧やカテゴリーB2以下の高脂血症の方は生活習慣の修正,改善を十分おこなってください.高リスク群の高血圧やカテゴリーB3以上の高脂血症方の多くは薬物療法が必要となりますが,生活習慣の修正,改善をいっしょに行うことで相乗効果が期待できます.

